以前のブログで、千字文の成り立ちや、その読み下し例・意味などをご紹介しました。そこでも書きましたように、千字文を作った人は梁時代の周興嗣(しゅうこうし、470年頃~521年)と言われています。梁の武帝が王子たちの手本用に作らせた、四字一句、二百五十句からなる四言古詩です。この千字文は美文にして重複する文字がないため、早くから中国はもとより、日本でも習字の手習い本として珍重されてきました。さらに、歴史上の能書家たちの多くが、この千字文を作品に残しています。
今日はその中から、智永の『真草千字文』をご紹介しようと思います。これは千字文を一行に10字ずつ楷書と草書で書き並べたものです。タイトルの真草の「真」とは楷書、「草」とは草書のことです。以下の写真は二玄社の『真草千字文』から撮りました。拓本なので、欠けている部分もあります。
これで草書の臨書をしましたので、いろいろ印などが付いていてます。お見苦しい点はご容赦ください。
智永は王羲之の七世の孫に当たり、当時より書名が高かった能書家です。彼は、なんと永欣寺閣上に30年間も閉じこもり、ひたすらに真草千字文を八百本書きました。それを江東の寺に一本ずつ施与したと言われています。そのうちの一本が日本にもたらされ、今に伝わっていると言われています。その書風は王羲之以来の格調高いものです。
30年間で800本…計算すると、1年間に約27本、約2週間に一本のペースで、しかも楷書と草書の二書体ですから、一本で二千字、トータルで160万字を書いたことになります。30年間もひたすらに千字文を書き続けたとは、本当に尊敬に値します。日々の地道な努力の賜物です。
このような、歴史上の能書家の書いた作品で現代に伝えられているものを「古典」と呼びます。それぞれの書家によって筆法や書風が異なります。それをその通りに模して書くことを「臨書」と言います。
↓参考までに、私が智永千字文を習った当時書いた清書の宿題から。
↓そして当時書いた全紙宿題。(70cm×136cm)
全紙(ぜんし)となると1枚書くのに何時間もかかり、一日に1枚が限界なので(動かないのに書道はものすごく体力を消耗します!)、何日間にわたって何枚も書きました。当時の苦労が思い出されます。今となっては楽しい思い出。(^.^)
西麻布書院では、基本の間架結構法、楷書、行書、草書、仮名を習った方であれば、古典の臨書を学ぶことができます。また、古典の臨書ではなく、『六体千字文』を使ってひたすらに千字文を習うことも可能です。
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Historical Senjimon #1 "Chiei" ~ A historical piece of work of one-thousand-character
It is said that Chiei wrote 800 pieces of one-thousand-character in 30 years. One piece includes 2 calligraphic styles, kaisyo which is standard style, and sosho which is cursive style. He donated them to 800 temples.
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