以前のブログで、千字文とは何か、その成り立ちなどをお話ししました。
今日は、千字文の読み方(音読み)と、読み下し文、そして意味についてご紹介します。
千字文はその名のとおり、千文字あり、二百五十の四字一句からなる四言古詩です。それを一度に書くと膨大な量になりますので、7回に分けてご紹介しようと思います。
今日は1~36です。
1~18
天地玄黃(テンチゲンコウ)宇宙洪荒(ウチュウコウコウ)
てんはくろくちはき、うちゅうはこうこうなり。
天は玄(くろ)く地は黄色。宇宙は果てしなく広い。
日月盈昃(ジツゲツエイショク)辰宿列張(シンシュクレッチョウ)
じつげつはみちかたむき、ほしぼしはならびひろがる。
日はのぼり西に傾き月は満ち欠けする。星は星座に宿りが並び広がる。
寒來暑往(カンライショオウ)秋收冬藏(シュウシュウトウゾウ)
さむさきたりあつさゆき、あきにおさめふゆにたくわう。
寒さが来れば暑さは去る。秋に穫り入れ冬に蓄える。
閏餘成歲(ジュンヨセイサイ)律呂調陽(リツリョチョウヨウ)
じゅんよとしをなし、りつりょはようをととのう。
閏(うるう)月で余った日数を整える。音曲を調子よく吹き鳴らせば陽気が整う。
雲騰致雨(ウントウチウ)露結為霜(ロケツイソウ)
くものぼりてあめをいたし、つゆむすびてしもとなる。
雲が起これば雨をもたらし、露が凍れば霜となる。
金生麗水(キンセイレイスイ)玉出崑岡(ギョクシュツコンコウ)
きんはれいすいにしょうじ、ぎょくはこんこうにいず。
金を産すは麗江の流れ、玉石を出すのは崑崙の山。
劍號巨闕(ケンゴウキョケツ)珠稱夜光(シュショウヤコウ)
けんをきょけつとごうし、たまをやこうとしょうす。
巨闕(きょけつ)という名剣と夜光の珠はともに至上最高の宝。
果珍李柰(カチンリダイ)菜重芥薑(サイチョウカイキョウ)
かはりだいをちんとし、さいはかいきょうをおもんず。
珍重果実はすももとからなし。重宝野菜はからしとしょうが。
海鹹河淡(カイカンカタン)鱗潛羽翔(リンセンウショウ)
うみはしおからくかわはあわし、うおをひそみとりはかける。
海は塩からく、河は淡白なものだ。魚は水中に潜り、鳥は空を飛び駆ける。
19~36
龍師火帝(リュウシカテイ)鳥官人皇(チョウカンジンコウ)
りゅうしとかていと、ちょうかんとじんこうと。
龍の伏羲と火の神農、鳥の小皞(しょうこう)の三皇が世を治めた。
始制文字(シセイモンジ)乃服衣裳(ダイフクイショウ)
はじめてもじをつくり、すなわちいしょうをきる。
はじめて文字を作ったのは蒼頡(そうけつ)、上下衣服を作ったのは胡曹(こそう)。
推位讓國(スイイジョウコク)有虞陶唐(ユウグトウトウ)
くらいをおしくにをゆずる、ゆうぐととうとうは。
文字や衣服ができ秩序が定まってきたので賢者に帝位を譲った。陶唐(とうとう)氏が有虞(ゆうぐ)に、有虞が禹(う)に譲位したように。
弔民伐罪(チョウミンバツザイ)周發殷湯(シュウハツイントウ)
たみをあわれみつみをうつ、しゅうのはついんのとう。
民を哀れみ罪ある者を討つは、周の武王と殷(いん)の湯王。
坐朝問道(ザチョウモンドウ)垂拱平章(スイキョウベンショウ)
ちょうにざしてみちをとい、すいきょうしてべんしょうす。
玉座に座してただ治道を問う。衣を垂れ手をこまねいきながら天下治める。
愛育黎首(アイイクレイシュ)臣伏戎羌(シンプクジュウキョウ)
れいしゅいつくしみそだて、じゅうきょうをしんぷくせしむ。
名君は民を愛しみ育てる。外では蛮族を服従させ徳を天下に知らしめる。
遐邇壹體(カジイツタイ)率賓歸王(ソツビンキオウ)
とおきもちかきもちをひとつにし、そつびんおうにしたがう。
遠き近きも諸国が一体となり、地の果ての人々までも王に従う。
鳴鳳在樹(メイホウザイジュ)白駒食場(ハククショクジョウ)
おおとりはきにあってなき、しろこまはにわにはむ。
天下治まり名君がいる時は鳳凰(ほうおう)が樹で鳴き、王に意見を求めに来た賢者の白馬は草を食む。
化被草木(ガヒソウボク)賴及萬方(ライキュウバンポウ)
かはそうもくをもおおい、らいはばんぽうにおよぶ。
名君の徳化は草や木まで及ぶ。民の幸いは国々に満ちる。
参考になりましたでしょうか?
ではまた次回。(^.^)
西麻布書院 代表 古川静仙
Seisen Furukawa / Head of Nishi-Azabu Shoin
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