生徒さんの作品紹介 @2016年展覧会 ~Shodo exhibition 2016~

皆さまこんにちは。今年の展覧会も無事に終了しました。たくさんご来場ご高覧いただき、ありがとうございました。

 

今日は展覧会での生徒さんの作品紹介。今年は月にちなんだ作品が三つありました。その表装にもご注目ください。

 

【1】『至誠惻怛(しせいそくだつ)』

山田方谷(ほうこく、1805年~1877年)の言葉。真心(至誠(しせい))と怛(いた)み悲しむ心(惻怛(そくだつ))があればやさしくなれるという意味。2015年ノーベル賞を受賞された大村智先生がその年の言葉として色紙に書いたことでも知られる。

言葉にぴったりの落ち着きのあるいい創作軸になりました。

初出品。今年六月の検定試験で雅号を取得。「先生の文字に憧れ続けあっという間に二年が経過しました。いつもやる気スイッチを押し続けてくださる先生のお陰です。来年も出品したいです!」

 

 

【2】『掬水月在手』(水を掬(きく)すれば月(つき)手に在(あ)り)。禅語。

この言葉の後には「弄花香満衣(花を弄すれば香衣(かえ)に満つ」と続きます。両手で水を掬えばそこに月が映り、花を手に取ればその香りが衣服にしみ込む。自他の対立を離れて月や花と融合し、渾然一体となった喜びの境地を表現した句。出典:于良史(うりょうし)詩

月と水を表した素敵な軸装になりました。

「茶道を習っているので、小筆でさらさらと手紙が書けるようになりたいと思い、書道を習い始めました。仕事が忙しくてお稽古もままならない時もあり、今ようやく行書に入ったところです。頭でわかっていても実際にはなかなかさらさらとは動かないもどかしさを感じながらも、続けていれば必ず書けるようになると先生に励まされながらマイペースで頑張っています。茶軸にこの言葉を選びました。」

 

 

【3】『花鳥風月(かちょうふうげつ)』

花・鳥・風・月は、すべて自然の美しい風物。天地自然の美しい景色を象徴的に表している。「花鳥風月」は貴族や武家がそれを鑑賞し詩歌などを嗜む風流な遊びであった。出典:風姿(ふうし)花伝(かでん)

「磨りたての墨の香りと真っ白な半紙に筆でしたためる瞬間の緊張感が好きです。いつか古川先生のような美しい字をお手本なしで書けるようこれからも練習を続けていきたいです。」

 

 

【4】『龍翔鳳舞(りゅうしょうほうぶ)』

龍の如く力強く飛び、鳳凰の如く華麗に舞う。筆勢が雄渾(ゆうこん)で生き生きとしている様をいう。

「古川先生の字がとても好きで、早く先生のように書けるようになりたいです!」

勇ましい言葉にぴったりの表装になりました。

 

  

【5】『風吹不動天辺月』(風吹けども動ぜず天辺(てんぺん)の月)。禅語。

どんなに風が吹いても天上に輝く月は少しも動じることなく悠々と光り輝いている。すなわち、苦しいことがあっても天に輝く月の如く不動の心を持てという意味。

初出品。「無心になって文字だけに集中できるお習字の時間が、私の生活になくてはならないものになっています。いつか先生のように素敵な文字を書けるようになりたいです。」

夜空に天辺の月がぽっかり浮かんでいる様を表現した素敵な創作軸になりました。

 

 

【6】『遊藝(ゆうげい)』

芸術、すなわち茶の湯・生け花・音曲・舞踊などに心を寄せること。出典論語「仁に依り、芸に游(あそ)ぶ」

初出品。「学生時代は図画工作など何かを創り出すことに自分は向いていないのではないかと思っておりましたが、そんな中でも字を書くことは好きでしたので、書道を習うことに致しました。普段仕事帰りにお稽古に向かうのですが、墨の香りをかぐと仕事のストレスも発散できます。これからもどうぞよろしくお願い致します。」

遊藝にぴったりの遊び心のある若々しい創作軸になりました。

 

 

【7】『清風明月(せいふうめいげつ)』

清々しい風が吹き過ぎる大地を明るい月が照らし出す様と、明るい月に照り映える広野に涼風が吹き来る様とを並べた「清風払明月 明月払清風」で知られる語。俗塵を離れていることの象徴として用いられる。出典:碧巌録(へきがんろく)。

初出品。「練習が足りず、数を書いてもなかなか変わらずで、思うように書く難しさを体験しました。墨を磨るのはだいぶ慣れました!今回は表装に助けられました!」

明月とそれに照らされた明るい夜空のイメージの素敵な創作軸になりました。

 

 

【8】『人は力也(なり)』座右の銘。

芳名帳に自分の名前を上手に書きたいというのが始まりで、本格的に習い始めました。筆遣いや結構法などをよく観察して分析する研究熱心な生徒さんです。メキメキと腕を上げています。

 

 

【9】千字文(せんじもん)より冒頭部分

『天地玄黃(げんこう) 宇宙洪荒(こうこう) 日月盈昃(じつげつえいしょく) 辰宿列張(しんしゅくれっちょう) 寒來暑往(かんらいしょおう) 秋收(しゅうしゅう)(冬藏(とうぞう))』

天は玄(くろ)く地は黄色。宇宙は果てしなく広い。日は昇り西に傾き月は満ち欠けする。星は星座に宿り並び広がる。寒さが来れば暑さは去る。秋に穫り入れ冬に蓄える。

入会以来大好きな篆書一筋に頑張っています。入会後わずか半年での初出品。好きこそものの上手なれ。

「ある書道展で篆書(てんしょ)作品を見て、なんと美しい文字だろうと感動して以来篆書が好きになり、先生にはいきなり篆書を習いたいと無理なお願いをしました。その上いくら先生のお勧めとはいえ、初心者の私が展覧会に出品とは厚顔無恥な愚挙だったか…とも思いましたが、いい体験になりました。」

しっとりとした大人の創作軸になりました。

 

 

「書は人を表す」と言います。正に十人十色の作品だったと思います。皆さまよく頑張りました。八月のお稽古の日、ゲリラ豪雨の中、全員揃った時には感激しました。皆さまの頑張りには敬意を表します。そして皆さまからのコメントには胸が熱くなりました。ありがとうございます。

さて、作品を書いてみていかがでしたか。なかなか思い通りに書けなかったという方もいるでしょう。でも出さないより、そういう体験をしてこそ成長につながります。作品書きは結局のところ日頃のお稽古の積み重ねです。日頃のお稽古を大切にしましょう。教室で習って直されたところをお家でおさらいする、その繰り返しに尽きます。

西麻布書院で皆さまに出会えたご縁に感謝しております。真面目で熱心な生徒さんばかりで、私は本当に幸せ者です。「教うるは学ぶの半ば」という諺のとおり、生徒の皆さまに教えることで私自身多くのことを学ばせてもらっています。

皆さまも気分転換や趣味、仕事のためなどいろいろなきっかけで書道を始めたと思います。きっかけはそれぞれでも、書の道を歩み始めたのは皆同じです。継続は力なり。そして継続は毎日の小さな一歩の積み重ねです。これからも一緒に精進いたしましょう。

 

西麻布書院 書道家 古川静仙

 

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Shodo Exhibition 2016 in Ginza;

 

Shodo exhibition was held in Ginza in October. The above photoes are the works of my students! They are all great!

 

 

There are Shodo classes for foreign people. Reservation required from here.

We have off-site private and group lessons as well.

 

Thank you,

 

Seisen Furukawa / Japanese Calligrapher / Head of Nishi-Azabu Shodo Studio

 

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