たくさんのご来場ありがとうございました。今年は昨年より更に多くの生徒さんが出品しました。今日は生徒さんたちの力作をご紹介。
↓篆書と隷書作品を書いたお二人の作品がちょうど並んでいました。
隷書のほうは『論語』より、「君子有九思。視思明、聴思聡、色思温、貌思恭、言思忠、事思敬、疑思問、怒思難、見得思義。
君子は常に九つのことを肝に銘じていなければならない。物を見るときは明らかに、物を聴くときは神経を研ぎ澄まし、顔色は穏やかに、容貌は慎み深く、発言は誠実に、行動は慎重を旨とし、そして疑問を感じたら相手に尋ね、腹が立ったときは後難に思いを致し、利益を見たら道義を忘れないことである。
篆書は呉熙載 『篆書崔子玉座右銘四屏』より四枚目の臨書でした。
↓次に行草体の作品に挑戦した生徒さんの作品。
「龍得雲則霊 虎得風則威」 『虚堂録』より
龍雲を得れば則ち霊あり、虎風を得れば則ち威あり。
龍は雲に乗ることができれば霊妙な働きをし、虎は風を受けることができれば威光が出る。全てのものはその本来あるべき所を得て、本来の特性を発揮するという。
初めての連綿に挑戦でしたね。とても立派に書けました。黄金で重厚ないい掛け軸になりました。
↓耀仙さん 初めての隷書作品
百花春至為誰開 禅語
百花春至って誰が為に開く
「美しく咲き乱れる花は誰の為に咲くのか。」 花は誰の為でもなく、ただ自然のまま咲くだけ。人間も咲く花の如く無心に生きれば人生を豊かに生きられるという禅の教え。行書作品は、禅語より「漁夫生涯竹一竿」
「漁夫の生涯竹一竿。」これさえあれば生きていけるというもの。漁夫は生計を立てるのに釣り竿一本さえあれば生きていける。何にも執着せず自由な心で楽しく豊かに生きていけるのだという禅語。この言葉と対になっている「山僧活計茶三畝(お坊さんは小さな茶畑があればそれで暮らしていける)」に続く言葉です。いい言葉ですね。立派に書けました。竹色の清々しい表掛け軸です。
隷書作品は、
唐・李白『山中問答』より
「桃花流水杳然去 別有天地非人間」
桃花流水杳然として去る 別に天地の人間に非ざる有り
(人は私にどういうつもりで碧山に住んでいるのかと問う、私は笑って答えようとはしないが、心の中は穏やかなのだ)、この山の中を桃花流水が杳然として流れていく、天地の間にありながら人間の世界ではないかのようだ。
初めての隷書作品で立派に書けました。落ち着いた三段表装。印もご自分で彫ったものです。
↓こちらも初めての隷書作品を書いた生徒さん
白居易『村夜』より
「独出門前望野田 月明蕎麦花如雪」
独り門前に出でて野田を望めば、月、明らかににして、蕎麦の花、雪の如し。
白居易四十歳、郷里に帰っていた時の作。月明りの下、一面の雪のように咲く白い花。農民にとって作物でしかない植物の小さな花。白居易の名詩。
隷書の特徴がよく出た立派な作品になりました。
↓ここからは初出品の生徒さんたち
禅語より「昨夜一声雁 清風万里秋」
昨夜一声の雁、清風万里の秋
昨日の夕景、空に南へ渡る雁の一群を見た。暑いと思っていたがもう雁が渡る季節なのかと物思いに耽った。今朝起きてみると清々しい風が吹き渡ってもう至る所で秋の気配がする。
初めての作品でしかも外国人の方がここまで書けるとは驚きました。秋色の日本らしい掛け軸になりました。
↓こちらも初出品の生徒さん
唐・劉商『送王永』より
「君去春山誰共遊 鳥啼花落水空流」
君去らば春山誰と共に游ばん、鳥啼き花落ちて水空しく流れん。この後には「如今送別臨渓水 他日相思来水頭」と続きます。七言絶句。
あなたは春の山から去っていくので、私は誰と楽しみを共にすればいいのだろうか。鳥は鳴き花は散って川の水は空しく流れていくのに。楷書作品は、
梨花一枝 唐・白居易『長恨歌』より
扁額は、
明・高啓『胡隠君を尋ぬ』より「看花還看花」
花を看 還た花を看る。
というわけで、多くの生徒さんたちが展覧会に出品しました。作品書きは挑戦です。皆さん何かしらの挑戦だったと思います。初めての作品、初めての書体、初めての大きさなどなど。早速来年はこういう作品が書きたい…という声もあり、とても嬉しく思います。来年もまた挑戦しましょう!
西麻布書院
古川静仙
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